【創作小説】冬のある朝に
こんにちは、読書大好きLuna*です。
突然ですが『はてなブログ』には「今週のお題」というものがあるのですね!
以前ブログを書いていた『アメーバブログ』では、「今日は何の日?」がこれに当たるのでしょうか。
せっかくなので「今週のお題」の「雪」を活かして、創作小説を書こうと思います。
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「……ああ、朝か」
ゆっくりと寝台から体を起こす、一人の男。
齢(よわい)は30を超えたぐらいの、黒髪に黒目の平凡そうな男である。
男は髪をぐしゃぐしゃと掻き乱してから、かたわらに置かれたブーツに足を通す。
立ち上がり、ふと窓の外へと目を向ければ、昨夜降り積もったであろう雪が、太陽の光を反射している。
「ん? あいつ、もしかしてまた!?」
男は何かに気が付き、慌てた様子で外装を整え、家を飛び出す。
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「今日は気が付くまでに、ずいぶんと時間がかかったものね」
「寝てたんだから、仕方ねぇだろ……。時間帯を考えろよ!」
呆れた様子で顔をしかめる男の視線の先には。
雪のように白い、一人の女が立っていた。
瞳の色だけが、冬の澄んだ空のような色合いだ。
「ネリ。あなたがいれば冬が終わるまでは、私は私でいられる」
白い女・ミルカは優しく微笑んだ。
「幼馴染(おさななじみ)に、俺以外を襲うようなバケモノになって欲しくねぇからな」
「お生憎様(おあいにくさま)。もう私はバケモノのなのよ。あなたの命の火を食べて、雪の精になる、ね」
男・ネリはミルカの手に触れる。
それは生きているとは思えない程に、ひどく冷たい。
手に触れる度に、ネリはミルカが雪の精となってしまったことを思い知らされるのだった。
二人は来年の春に結婚をする約束をしていた。
けれど今年の秋に、急にミルカが亡くなってしまった。
失意に暮れ、雪が振り始めた頃ミルカの後を追おうと決めたネリの前に、白いミルカが現れる。
その時は死神となったミルカが、ネリを連れて行こうとやってきたのだと思ったらしい。
『どうせ死のうとしていたんでしょ? あなたはホントにバカね』
『ミルカがいない世界なんて、俺にとっては地獄だからな。お前と一緒にいれるのなら、どこだっていいんだ』
ネリの生命力である命の火があれば、ミルカは雪の精として長く生きれるようになるらしい。
そしてそれがなければ、すぐにミルカは死んでしまう。
二度目のミルカの死を、ネリは受け入れられない。
それに死のうと思っていた命でミルカが生きてくれるのなら、とネリが考えたのも当然のことだった。
「ミルカ」
「なあに」
「愛している」
「ネリ、私も」
ぽつぽつと雪が降り始める。
ネリとミルカはそれを二人で眺めていた。
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